サーマルリサイクルとは?RPF(固形燃料)の仕組み・メリット・注意点を解説

要点
- サーマルリサイクルとは、廃棄物を燃やしたときに出る熱をエネルギーとして回収して使う方法です。法律では「熱回収」と呼ばれます。
- 日本の廃プラスチック(2024年・約911万t)のうち、67%がサーマルリサイクルで利用されています。素材に戻すマテリアルリサイクルは20%です。
- 代表的な方法が固形燃料(RPF)です。紙と廃プラスチックからつくり、同じ熱量を得る場合のCO2は石炭より約33%少ないとされています。
- 燃やすと素材には戻りません。リユースや素材のリサイクルを先に行い、残りを燃料にするのが基本の順番です。
「サーマルリサイクル」は、リサイクルの説明でよく出てくる言葉です。一方で「燃やすのにリサイクルなの?」と疑問に思う方も多いはずです。徳島県阿波市でリサイクルセンターを運営し、固形燃料(RPF)を製造している栄華商事が、仕組みとメリット・注意点を、実際の流れとあわせて解説します。
サーマルリサイクルとは
サーマルリサイクル(Thermal Recycle)は、廃棄物を燃やしたときに出る熱を、発電や工場のボイラーの熱源などに使う方法です。「エネルギー回収(エネルギーリカバリー)」とも呼ばれます。
燃やして灰にするだけの「単純焼却」とは違い、熱を使うことで、石炭・重油などの化石燃料の使用を減らせます。
法律上の位置づけ:「熱回収」は4番目
循環型社会形成推進基本法(第5条・第7条)では、廃棄物の扱いについて次の優先順位が決められています。
- 発生抑制(ごみを出さない)
- 再使用(リユース)
- 再生利用(マテリアルリサイクル)
- 熱回収(サーマルリサイクル)
- 適正な処分
サーマルリサイクルは、使い続けることや素材に戻すことが難しいものを、焼却・埋め立てに回さずに活かす方法という位置づけです。
3つのリサイクルの違い(マテリアル・ケミカル・サーマル)
| 種類 | 方法 | 例 | 廃プラスチックに占める割合(2024年) |
|---|---|---|---|
| マテリアルリサイクル | 溶かす・砕くなどして、素材のまま新しい製品の原料にする | ペットボトルを繊維やボトルに、金属スクラップを鉄鋼製品に | 20%(約182万t) |
| ケミカルリサイクル | 化学的に分解して、原料や化学品に戻す | 高炉の原料、コークス炉の化学原料、ガス化・油化 | 3%(約27万t) |
| サーマルリサイクル | 燃やしたときの熱をエネルギーとして使う | 固形燃料(RPF)、ごみ発電、セメント工場の燃料 | 67%(約610万t) |
※割合は、一般社団法人プラスチック循環利用協会「2024年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(2025年12月公表)の廃プラスチック総排出量911万tに対する値。残りは単純焼却8%・埋め立て4%。
日本の廃プラスチックの「有効利用率」は89%ですが、その多くはサーマルリサイクルです。汚れや異物が混ざったプラスチックは素材に戻しにくいため、燃料として活かす割合が大きくなっています。
サーマルリサイクルの主な方法
固形燃料(RPF・RDF)にする
廃棄物を砕いて固め、燃料として工場で使います。紙と廃プラスチックが中心のものがRPF、家庭の可燃ごみ(生ごみを含む)からつくるものがRDFです。RDFは水分や塩素が多くなりやすく、品質の安定しやすさではRPFが優れているとされています。
ごみ発電・熱利用
市町村などの焼却施設で、燃やしたときの熱で発電したり、温水や蒸気として使ったりします。
セメント工場の燃料
セメントを焼く窯の燃料や原料として、廃プラスチックなどを使います。
RPF(固形燃料)とは
RPFは「Refuse derived paper and plastics densified Fuel」の略で、マテリアルリサイクルが難しい古紙と廃プラスチックを主な原料にした固形燃料です。
| 項目 | RPFの特徴(日本RPF工業会の公表値) |
|---|---|
| 発熱量 | 6,000kcal/kg級(石炭並み)と8,000kcal/kg級(コークス並み)。紙とプラスチックの配合で調整できる |
| CO2 | 同じ熱量を得る場合、輸入一般炭より約33%少ない |
| 燃えがら(灰) | 3〜7%程度(石炭は11〜15%程度) |
| 価格 | 石炭の4分の1〜3分の1程度 |
| 主な使い道 | 製紙会社・鉄鋼会社・石灰会社などのボイラー燃料 |
RPFにできるもの・できないもの
- できるもの:紙くず・段ボールの切れ端、PE・PPなどのプラスチック、フィルム・梱包材、木くず、布など
- できないもの:塩ビ(燃やすと塩素が出る)、金属・ガラス・土砂などの燃えないもの、生ごみなど水分の多いもの、危険物
品質の安定した燃料にするには、分別がいちばん大切です。くわしくはRPFの原料になるものもご覧ください。
サーマルリサイクルのメリットと注意点
メリット
- 焼却・埋め立てに回る量を減らせる
- 石炭などの化石燃料の代わりになる
- 汚れや混ざりがあって素材に戻しにくいものも活かせる
- 燃料を使う工場は、燃料費を抑えられる
注意点
- 燃やすので、CO2はゼロにはならない
- 一度燃やすと、素材には戻らない
- 塩ビや異物が混ざると、燃料の品質が落ちる
- 燃料として使う工場(需要先)があって成り立つ
だからこそ、使える物はリユース、素材に戻せる物はマテリアルリサイクル、残りをサーマルリサイクルという順番で振り分けることが大切です。
栄華商事のサーマルリサイクル(徳島県阿波市)
栄華商事は、阿波市市場町のリサイクルセンターで、回収・持ち込みで集まった不用品や資源を選別し、固形燃料(RPF)を製造しています。廃棄物の再利用を通じて、循環型社会の構築を目指しています。

- STEP
01回収・受け入れ・計量
持ち込み、出張引き取り、コンテナ回収で集まったものを計量して受け入れます。
- STEP
02選別
まだ使える物はリユースへ、金属は金属資源へ。素材に戻せるものを先に取り出します。電池やスプレー缶など、火災の原因になるものもここで取り除きます。
- STEP
03破砕・圧縮
紙・プラスチック・木・布を細かく砕いて圧縮し、固形燃料にします。
- STEP
04燃料として出荷
固形燃料は、工場のボイラーなどで石炭の代わりの燃料として使われます。
一般廃棄物は、阿波市・吉野川市・藍住町・板野町・上板町・松茂町・北島町から受けている一般廃棄物再生利用業の指定(再生輸送)と、阿波市の指定(再生利用)の範囲で扱っています(一般廃棄物の再生輸送・再生利用)。写真つきの流れは不用品はどうやって資源になる?でご紹介しています。
徳島で、紙・プラスチック・木・布を燃料の原料に出すには
| 出す方 | 方法 | ご案内 |
|---|---|---|
| ご家庭 | 阿波市のリサイクルセンターへの持ち込み、出張引き取り・コンテナ回収(7市町) | 粗大ごみ・不用品の持ち込み |
| 店舗・事務所 | 紙・木・布は事業系ごみとして資源回収(7市町)。事業所のプラスチックは産業廃棄物にあたるため、許可申請中の現在は対象外 | 店舗・事務所の事業系ごみ |
| まとめて出る現場 | コンテナを置いて、いっぱいになったら回収(金属スクラップ・7市町の一般廃棄物) | コンテナ(バッカン)設置・回収 |
| 許可業者・自治体 | 一般廃棄物をRPFの原料として受け入れる相談 | 許可業者・自治体の方へ |
よくあるご質問
- サーマルリサイクルは「リサイクル」と言えるのですか?
- 日本の法律では、素材に戻す「再生利用」と区別して「熱回収」と呼んでいます。海外の統計ではリサイクル率に含めないことも多いため、素材に戻せるものは先にマテリアルリサイクルに回すのが基本です。そのうえで、素材に戻せないものを焼却・埋め立てに回さずに活かす方法です。
- RPFとRDFの違いは何ですか?
- 原料が違います。RPFは紙と廃プラスチックが中心、RDFは家庭の可燃ごみ(生ごみを含む)が原料です。RPFのほうが水分や塩素が少なく、燃料の品質が安定しやすいとされています。
- 塩ビ管や塩ビ製品もRPFになりますか?
- なりません。燃やすと塩素が出て、設備を傷める原因になるため、RPFの原料からは外します。塩ビ管の扱いはプラスチック・廃プラスチック・塩ビ管の受け入れをご覧ください。
- 家庭の布団や衣類、木の家具も燃料になりますか?
- はい。布団・衣類などの布製品や木製家具も、金具などを外したうえで固形燃料の原料にしています。
- 会社から出る廃プラスチックも出せますか?
- 事業活動から出る廃プラスチックは、業種を問わず産業廃棄物にあたります。栄華商事は産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を申請中のため、現在はお受けしていません(有価で買い取れるものはご相談ください)。
まとめ
サーマルリサイクルは、素材に戻せないものを燃料として活かし、焼却・埋め立てを減らす方法です。リユース・マテリアルリサイクルと組み合わせてこそ、資源を無駄なく使えます。
紙・プラスチック・木・布、金属スクラップがまとめて出るときは、コンテナ回収もご利用ください。ご相談は、お電話(0883-30-4327、8:30〜17:30・日曜祝日休み)またはお問い合わせフォームから。
出典
- 一般社団法人プラスチック循環利用協会「2024年廃プラスチック総排出量は911万t、有効利用率は89%」(2025年12月24日公表)
- 一般社団法人日本RPF工業会「RPFとは」
- 一般社団法人日本RPF工業会「環境負荷低減効果」
- 循環型社会形成推進基本法(e-Gov法令検索)
※2026年9月30日時点の情報です。